アートメイクのダウンタイムとは?
アートメイク施術は、皮膚に針を刺して色素を注入する施術です。そのため施術後の皮膚には、細かな傷がついています。
そしてこの傷が治るまでの期間を、「ダウンタイム」と呼ぶのです。
またダウンタイムは傷が治るだけでなく、アートメイクの色素が定着するためにも重要な期間です。
ダウンタイムの過ごし方次第では、せっかくのアートメイクが失敗に終わる可能性も考えられます。
だからこそアーティストは、患者さまにその必要性と過ごし方を、丁寧に説明しなければならないのです。
アートメイクのダウンタイム期間
アートメイク術後腫れやかさぶたなどの症状が落ち着くまでの期間は、1週間程度。色が定着するまでの期間は28日~45日程かかります。
しかし個人差があるため、すべての人がぴったり同日にダウンタイム期間を終えるとは限りません。傷の治りが遅い方や高齢の方の場合、更に時間がかかることもあります。
【アートメイク施術後~ダウンタイム終了】主な症状と注意すべき点
アートメイクの施術後は、ダウンタイム期間の28日~45日程度はその過ごし方に注意すべきと言えます。
そこでターンオーバーが正常な方が眉アートメイク施術をした場合の28日間を想定して、主な症状と注意すべき点を解説しましょう。
1日目 赤みや痛みを感じる
傷への刺激や麻酔の影響により、術後は赤みやヒリヒリとした痛みを感じることがあります。
なかには、腫れが生じる場合もあるので、心配になることもあるでしょう。
しかし気になるからといって、施術患部に触るのは厳禁。
時間の経過と共に、症状が落ち着くのを待ちましょう。
もしも腫れが生じた場合、患部に直接触れないように注意しながら、ガーゼや布で包んだ保冷剤で冷やすようアドバイスしてください。
洗顔:NG
メイク:NG
軟膏塗布:朝・晩
2~3日目 かさぶたができる&色が濃い期間
施術後2日が経過する頃、施術箇所にかさぶたができることがあります。
かさぶたがかゆい場合には、冷却や軟膏(市販薬ではワセリンなど)の塗布をすると緩和する点をお伝えしてください。
またこの期間は、色素が濃く見えるので、不安になる患者さまもいらっしゃることでしょう。
安心していただくためにも、これらが通常の経過であること、徐々に色が薄れていくことを事前に説明してくださいね。
さらに施術翌日(2日目)以降は、施術患部以外の洗顔が可能になります。
ただし、施術箇所になるべく水がかからないよう、ふき取りシートやコットンを使った洗顔を推奨しましょう。
洗顔:△(施術患部はNG)
メイク:×
軟膏塗布:朝・晩
4~5日目 少しずつかさぶたが剥がれていく
かさぶたが剥がれ始めるため、かゆみを強く感じるかもしれません。
かさぶたが気になって無理に剥がしてしまわないよう、注意してください。
またこの時期には、アートメイクの色素も徐々に落ち着いていきます。ただし、かさぶたをゴシゴシと擦ることで、色素の定着に影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。
かゆみの軽減には、冷却や軟膏を活用するようお伝えしましょう!
洗顔:△(施術患部はNG)
メイク:△(施術患部はNG)
軟膏塗布:朝・晩
6~7日目 自眉に馴染むように
この頃にはかさぶたがだいぶ剥がれ、かゆみもほとんどなくなるでしょう。
自眉と馴染んでくるので、施術患部も目立たなくなります。
またこの時期は、眉(施術患部)以外のメイクができるようになります。
ただし、かさぶたが完全に剥がれきる前に眉メイクをすると、その刺激で色ムラになる可能性があります。
引き続き、施術患部の洗顔とメイクに注意するよう促しましょう。
洗顔:△(施術患部はNG)
メイク:△(施術患部はNG)
軟膏塗布:朝・晩
8~28日目 普段通りの生活へ
かさぶたが完全に剥がれたら、洗顔やメイクなど、普段通りの生活ができるようになります。
ただしアートメイクは、肌のターンオーバー(新陳代謝)によって色素が濃くなったり薄くなったりを繰り返すため、定着までは28日間程度かかります。
また初回施術の場合、その色素定着率は施術直後の30%程度と言われています。
28日後の状態を考慮して、2回目の施術タイミングをご提案しましょう。
洗顔:〇
施術患部のメイク:〇
軟膏塗布:朝・晩
※今回は眉アートメイクを例にお伝えしましたが、唇やアイラインなど、施術部位によって注意点が一部異なります。
患者さまへの説明の際には、施術に合った説明を心がけましょう。
アートメイクのダウンタイム【気になるQ&A】
「アートメイクのダウンタイム中は重要!」そう言われても、納得できないとその必要性を感じない方もいらっしゃることでしょう。
そこでアートメイクのダウンタイムについて、よくあるQ&Aをまとめました。
Q.ダウンタイム中の洗顔やスキンケアで注意すべきことは?
ダウンタイム期間中の約1週間は、施術患部を水に濡らさないよう注意しましょう。
そのため、施術患部の洗顔やクレンジング、化粧水や乳液などのスキンケアも厳禁。
ただし、肌のターンオーバーを促すためにも、この期間の肌の清潔は大切です。ふき取りシートやコットンなどで、汚れをしっかりと落とすようお伝えください。
なお、刺激が強いこと、また真皮のターンオーバーを活性化させるビタミンAが含まれる化粧品の使用は術後1ヶ月は避けてください。
Q.アートメイクの施術患部は、なぜメイクをしてはいけないの?
アートメイクの施術患部には、傷ができています。
そこにメイクのような刺激を与えると、回復を遅らせるばかりか、赤みや腫れなどの症状を悪化させる懸念もあるのです。
Q.飲酒や運動、入浴は問題ない?
施術後に新陳代謝を促すと痛みや炎症、赤みなどの症状が強くなる可能性があります。
さらに新陳代謝が色素定着の妨げとなることも考えられます。
そのため術後24時間は、飲酒・運動・長時間の入浴(サウナ・マッサージなども含む)は避けましょう。
Q.軟膏を塗る必要性と期間は?
アートメイクの施術後、次のような目的からワセリンなどの軟膏を塗る必要があります。
- 保湿(患部の乾燥防止)
- かゆみの緩和
- 患部の刺激防止
- 傷の治癒促進
- 色素定着をサポート
なかには腫れや痛みが引いたら、軟膏を塗るのをやめてしまう方もいます。
しかし、アートメイクの色素をキレイに定着させるためには、約1カ月は軟膏を塗ることをオススメします。
Q.アートメイクを長持ちさせるためにはどうするべき?
表皮に色素を入れるアートメイクは、肌のターンオーバーにより色素が流出し、約1~2年程度で少しずつ薄くなっていきます。
この期間を少しでも長持ちさせるためには、傷口が開いて色素が流出しやすい、施術後1週間の過ごし方が重要に!
つまり、アートメイクを長持ちさせるためにも、ダウンタイム期間は医師やアーテイストの指示に従い過ごしてほしいと、その必要性をしっかり伝えるべきなのです。
【まとめ】アートメイクの仕上がりは、ダウンタイム次第!
アートメイクは、施術をして完成ではありません。
肌のメカニズムを考えても、施術後のダウンタイム期間でどのように過ごすかが重要になります。
ダウンタイムのアフターケアを徹底することで、美しいアートメイクへと仕上がる…
ダウンタイムが不安、面倒だと感じる患者さまに、この点をしっかり理解していただくことが、「理想的なアートメイクのご提供」につながるのではないでしょうか。